再稼動阻止全国ネット 羽咋・全国交流会の御礼とご報告

 再稼動阻止全国ネット-羽咋合宿・全国交流会への参加ご苦労様でした。首都圏や各現地、富山、地元の参加も多く、60部用意した資料が足らなくなる盛況で、無事終了することができました。受け入れた命のネットワークとして厚く御礼申し上げます。
 柳田 真・全国ネット共同代表、淵上太郎・経産省前テントひろば代表をはじめ北海道・泊、福島、東海村、首都圏5団体、静岡、柏崎刈羽、福井、関西、伊方、宮崎など28名、富山12名、地元は30名(羽咋10、志賀5、七尾3、中能登町3、金沢4、輪島、小松)、計70名が参加し、翌日には志賀町全域(高浜市街地、堀松地区、志加浦地区、福浦、富来市街地)でのビラ入れ行動(約3千戸に配布)も実施できました。
 2日目のまとめで、5~6月にむけた行動の焦点が鮮明に提起されました。再稼動の嵐を待つのではなく、いまから全国現地の連携と運動の強化をはかろうという思いが一歩前進したのではないでしょうか。石川でも、30㌔圏各自治体への申入れ行動とともに、6月行動-6/2国会包囲、23~24伊方-にぜひ参加し、各現地の連携を強めねば、考えております。
 ただ、当方のスタッフの少なさから2日目の志賀町現地行動で幾つかもたつき、志賀原発の全景を見てもらえなかったのが残念です。もともと、私たちが羽咋での全国合宿を受けたのは2つ理由がありました。一つは若狭の原発銀座と巨大立地点・柏崎刈羽にはさまれているためか、「石川に原発があったの?志賀原発ってどこ?」という声をよく聞くので、志賀も全国現地の一つと知ってもらいたいと思っていたからです。
 二つ目は石川自身の発信力の弱さとフットワークの重さを克服するきっかけになれば、と考えたからです。その点では、首都圏はもちろん北は泊、南は宮崎まで遠路をいとわず駆けつけた方々の再稼動ストップへの熱気は、地元の仲間に強いインパクトになりました。地元側の参加が予想以上に増えたのも、その反映ではないでしょうか。百聞は一見にしかず。福島・橋本さんの「東電や官僚、経団連のヘッドが路頭に迷うなんて聞いたことなく、私たちの苦しみを分かっていない」という訴えは何よりも胸に響きました。また刈羽村議・近藤さんの「防災計画は全く現実にはありえない想定で成り立っている。仮に避難できても帰って来れない避難は避難とはいえない」との報告も、30㌔圏の私たちにとってストンと納得できました。事態は防災計画の是非を超えています。
 長くなるのでこれ以上ふれませんが、他の方々の報告も参考、励ましとなることが沢山ありました。それらをふまえて、私たちのフットワークと発信力を強めたいと思っています。また、インターネットで全国交流会を知り、命のネットに新加入する人も出てきました。引き受けてよかったと実感しています。重ねて御礼申し上げます。最後に、6月行動の中での再会を約して!


  2013年4月17日   命のネットワーク代表 多名賀 哲也

 <追記>交流会カンパ有難うございました。おかげさまでビラ配布時のオニギリ代を含め、ほぼ収支トントンで支払いも済みました。感謝いたします。(コーヒー、お茶、お酒は会員のカンパ)会場費などは通常会計の予算内で対処できます。とりあえずご報告まで。


  2013年4月13・14日  再稼働阻止全国ネットワーク・能登(羽咋)合宿  命のネットワーク 藤岡 彰弘

 志賀原発再稼働阻止のための「新たな陣型」作りに向けて

   〈課題〉

 推進の動きに遅滞(活断層調査の遅れ、新安全基準対策など)が目立っている。一方再稼働阻止の側にも、昨年夏の大飯原発再稼働阻止行動が創りだした「拒否」の闘いの「地平」とでもいうべきものを未だうまく引き継げないまま、「新たな陣型」づくりの模索が続いている。
 志賀原発再稼働をめぐる状況もまさにこの双方が「つりあった状態」にあり、「3・11」という未曾有の事態が突きつけている課題をもう一度引き寄せることで、この「つりあった状態」を少しずつ、しかし大胆に突破していく道筋を創りだしていきたい。

   〈ポイント〉

「3・11」以後、志賀原発に対する反対運動の主体は、どれほど変わりえただろうか。変わりえていないことが、「新しい陣型」づくりを遅らせる要因となってはいないだろうか。少し乱暴にまとめれば「陣型」を創りだす上で不可避なポイントは、以下の通りではないかと思う。
 1.旧来からの平和運動センター/労働組合と市民運動グループとのブロックにおいて、常にいわゆる「動員」され、カンパニア「要員」となっている人々を、その「主体」化へ向かっていかに促すか?
 2.長い反対運動の歴史の中で、かって一度は運動に深く関わりながら、様々な理由で遠ざかっている人々が、もう一度運動にかかわるきっかけ、言いかえれば再「住民」化の契機をどう創っていくのか?
 3.「3・11」という局面の後に、身近で起きている「ガレキ持ち込み反対」等に、関心を寄せている人々が、その「主体」化のありようを、さらに深めることをどう促すのか?
これら三つの問題にどう対応していくのかが、まさに、志賀原発再稼働阻止の運動主体のありようを「3・11後」という局面に見合ったものに変えていけるかどうかのポイントになるのではないか。2012年夏の大飯の闘いは、「再稼働」攻撃に対して「否」を突きつける共同の主体の立ち上がりを、あざやかに提示したことにおいて、画期的なことだった。その画期性を、どう新たな「陣型」の形成に摂取するのかが、まさに、私たちに問われている。
私たちは、各地の取り組みに学びつつ、以下に提起する運動に取り組むことを通して、この三つの問題と向きあっていきたいと考えている。

〈今後の取り組み〉

 1. 30km圏自治体への要請行動と連携交流会の開催
  ¡ UPZ圏とされた8市町(輪島市、穴水町、羽咋市、宝達清水町、かほく市、中能登町、七尾市、氷見市)の首長/議会に対して、「原子力防災計画」/「安全協定」をてこに、北陸電力と石川・富山両県に志賀原発の廃炉を求める要請をする。
  ¡ 期間は5月~7月をめどとし、その間、3~4カ所で要請行動参加者を中心とした交流会を開催する。
 30㌔圏を『被災現地』と捉え、それぞれの住民として連携交流するだけでなく、30km圏が志賀原発を包囲して廃炉を求める「拒否現地」であることを共同アピールする。

 2. 「『志賀原発もうやめよう!』キャンペーン運動」の提起と展開
  ¡ 石川・富山両県平和運動センターをはじめ、志賀原発に反対する全ての団体・運動体・個人に、「志賀原発はもうやめよう!」を統一的なスローガンとして用いていくことを提起する。
  ¡ 大型看板、屋外ポスター、ステッカー、バッジ、小物グッズなど、あらゆる媒体、ソーシャルネットワークを活用し、「つりあった状態」を打ち破る再稼働阻止の大きな風を巻き起こす。
  ¡ キャンペーン活動の展開により、活動への参加の敷居を低くし、運動の多様化を促すと同時に、スローガンの共有により、運動体間の交流の広がりと深まりをめざす。
  「1」の連携要請行動をキャンペーン展開のきっかけとし、各地で媒体づくりのワークショップなどを開催していく。


 志賀原発廃炉へ!命のネット第13回総会開く

 厳しい寒波が襲来する中で、命のネットワーク第13回定期総会は、羽咋・志賀・珠洲・七尾・氷見・高岡・富山など各地から約40名が参加し開催されました。3.11から2年を迎えても事故の収束は覚束なく、石川県内にも約4百人が避難しています。
 命のネットは昨年、年4回の統一測定とヨウ素剤配布だけでなく、30㌔圏内2市2町への一斉申入れ、9月羽咋市役所前テント村・座り込み行動、再稼動阻止全国ネット結成への参加など、全力でとりくんできました。総会はこれらの活動を踏まえ、来る4月13日~14日、再稼動阻止全国ネットの羽咋合宿と志賀町ビラ入れ行動の実施を決めました。この活動を支える財政報告と予算も承認されました。
 山崎さんの記念講演は、福井県の原発銀座立地の結果が他の自治体と比べても大きなマイナスであったことをリアルに示され、印象的でした。4月14日に配布する志賀町へのビラにも是非活用したいと思います。

 再稼動阻止全国ネットよりメッセージ 

 ▲志賀原発の廃炉をめざして闘っている命のネットワークの皆さん、再稼働阻止全国ネットワークから共に闘う連帯のあいさつを送ります。
 ▲再稼働阻止全国ネットワークは昨年年11月に全国から300名近くが結集して結成されました。再稼働阻止の一点で全国の仲間が連携して闘おう、つながろうとつくられた闘う組織です。きっかけは2012年6月の関西電力大飯原発の再稼働に反対して闘った全国の仲間の息吹きです。それらが寄り集まって2度の全国交流集会を積み重ね結成されました。
志賀原発は敷地に活断層が指摘されています。日本列島は戦後の静穏期を終え『地震活発期』に入っています。政府も2月17日、巨大地震のリスクが高まったとして、地震保険料の15%値上げを決めました。今後さらなる値上げも予定されています(合計2回の大幅値上げ:日経2.18)
 ▲志賀原発の再稼働はとんでもないことです。廃炉こそふさわしい。先頭に立つ命のネットワークの皆さんの活動を心から期待します。私たちも東京でガンバルと同時に、4月13~14日には再稼働阻止全国ネット能登(羽咋)合宿に全国から参加します。その時の再会を期待して!

 *各地からメッセージと寄せ書き 
 このほか、伊方、東海、柏崎刈羽、北海道・泊、東京たんぽぽ舎からメッセージと2つの寄せ書きが届きました。感謝!(P4,5に掲載)

 「確実にやってくる廃炉の時代 財政に余裕のあるうちに脱原発を!」

 第13回総会にあたっての記念講演は福井の山崎隆敏さんにお願いしました。 山崎さんは合併前の今立町・現在は越前市で和紙問屋を営みながら、原発反対の活動を永年やってきました。その間、今立町議や越前市議としても頑張って来ました。また、著作も多数ありますので、福井県の原発反対運動の歴史等を学ぶときには多いに参考になります。また、議員として活動された経験からまとめられた原発防災関係の著作もあります。
 毎年暮れの「もんじゅ集会」には命のネットも必ず参加はしてきています。だが、残念なことに福井の住民運動を担っている皆さんとの交流は、通信物の交換以外はあまりなく、これまでお互いの経験を学び合ったり、討論したりという交流の機会を作ることもせずじまいでした。そこで、今回の講演会を機会にして、交流をという意図も含めて「福井からの報告」というテーマで講演をお願いしました。(上右の記事―講演する山崎さんーを参照)
 山崎さんの講演は、「確実にやってくる廃炉の時代 財政に余裕のあるうちに脱原発を!」という観点からのお話でした。
 原発の持つ危険性や構造的な話、あるいは福島事故の被害状況といった話と違い、原発立地自治体と似たような規模の自治体の決算を比較することにより、原発が地域経済も含めていかに地域の有り様を歪めてきたかを実証した講演となりました。
 例えば、福井県内各自治体の30数年間お工業製品出荷額を各自治体ごとに比較すると、原発のある自治体よりも原発のない自治体の工業製品出荷額の伸び率は桁違いであることが判明しています。原発立地により、地場産業の成長がなかったことを明らかにしました。
 また、1960年代に原発立地を拒否した徳島県との2007年度比較すると県債・県の借金では、1,660億円も福井県の方が大きくなっています。県人口はともに82万人で同規模です。
 ⇒ 県債(借金)残高 福井7,990億円 徳島6,330億円
 さらに、2010年に福井県立大学経済学部で「原発と地域経済の将来展望に関する研究」の研究発表では、原発による、恒久的な地域振興は現在も20年前と変わっていない。
「関西電力の利益は大部分が福井県外に流出するので、原発の福井県経済に対する直接的なメリットは、見かけの大きさほど大きくない」と報告書に書かざるをえなかったと言います。
 講演を聞かれた皆さんの感想では、この経済的な観点からの分析を具体的に聞く機会がないので、参考になりましたという意見が多く出ました。
 私たちも、志賀原発の現状と志賀町や石川県、そして近隣市町の置かれている状況を具体的に分析していく中で、「再稼働より廃炉を!」の闘いを進めていこう。

 ▼地場産業は成長したか 工業製品出荷額の比較 (1965年~2001年の36年間)

  出 荷 額 1965年 出 荷 額 2001年  伸 び 率 (倍)   人 口 1965年 人 口 2001年 
 敦賀市  232  1246 5  54,508  68,236 
 美浜町  4.2  46 11  13,358  11,576 
 高浜町  5.4  55 10  10,773  12,101 
 大飯町  2.8  14 5  6,080  7,021 
 武生市  166  3525 21  62,588  73,300 
 鯖江市  154  2027 13  50,114  65,290 
 三方町  2.1  185 88  10,519  9,114 
 上中町  3.7  280 76  8,567  8,174 
 名田庄村  0.2  80 80  3,940  2,915 


▼原発さよなら四国ネットワーク一同▼

志賀原発廃止のため石川から富山に広がって闘っておられる「命のネットワーク」の皆さまに、原発さよなら四国ネットワークより心から賛同と連帯を申し上げます。
 愛媛県では昨年8月に、羽咋をはじめ全国各地から原発を止めようと応援に駆けつけてくださった皆さま、また、賛同メッセージや布メッセージを送って下さった皆さまと『ストップ伊方原発再稼働 とめよう大飯原発8・19松山行動in愛媛』集会をもちました。そのとき、参加者全員で力を合わせて全ての原発を廃炉にして、原発のない社会をつくりましょうと、集会宣言をいたしました。さらに、集会後には再稼働阻止・全国相談会が開催され、11月には「再稼働阻止全国ネットワーク」が結成されました。
 日本は、いま、東電福島第一原発が炉心溶融事故を起こし、溶け落ちた核燃料がどこにあるか分からないという未曽有の原発大震災の真っ只中にあります。にもかかわらず、原子力‘規制’委員会はフクシマの総括をしないまま、新しい安全基準と原子力災害対策指針を決めて、各地の原発を再稼働しようとしています。愛媛県の伊方原発は、その最有力候補です。
 私たちは、大飯原発を止め、志賀原発も、伊方原発も、どの原発の再稼働も許さず、皆さまと力を合わせて原発のない社会づくりをしてまいります。生きとし生けるもの全ての生命を大切にして、原発のない社会を子どもたちに受け継いでいきましょう。

▼全国ネット共同代表、八幡浜・原発から子どもを守る女の会代表 斉間 淳子▼

 志賀原発を廃炉にするために奮闘をしている仲間の皆様へ
 私は、次の再稼働の第一候補地である伊方原発から10キロの地、八幡浜市に住んでいます。過疎の進む辺境の地伊方に原発が建てられたのは40年前でした。八幡浜市から伊方原発は、山にさえぎられて見えません。しかし、瀬戸内海に向かって建てられた伊方原発からは、例え事故がなくても放射能が日々流れ続けてきます。そういう所で私たちは子供を育て、親を見送ってきました。そして、子どもたち、孫たちは、これからも放射能漬けの故郷で生きねばなりません。原発が林立する日本のどこにも逃げ場はないのですから。
 あの惨い福島原発事故は、決して想定外ではないことは皆さんも良くご存知でしょう。伊方原発裁判の中で、原告たちが主張し続けてきた事実が、あの事故で全て証明されたのです。核は大自然の命や人間とは決して共存できないことが証明されたのです。私は、子どもたちや孫たちに放射能のないきれいな故郷を残してやりたいのです。大々的な防災訓練をしたり、避難場所の確保に走り回らねばならないような危険な原発はいりません。核廃棄物を何万年も管理しなければならないような原発を、次ぎの世代に残すわけには参りません。
 原発を作らせてしまった私たち大人が、次の世代に出来ることは、原発を廃炉にして、本当に安心できる社会として引き継ぐことです。手を取り合い、心を尽くして、共に全国の全ての原発を止めましょう。どこの故郷にも原発は要りません。

▼ 茨城県東海村・脱原発とうかい塾代表 相沢 一正(村議) ▼

 命のネットワーク総会にお集まりの皆さん方に、東海村より連帯のメッセージを送ります。
 日本最初の東海原発からの発電が始まってほぼ50年。今や開発当初から指摘されていた「原発と人類は共存できない」という真理がはっきりと証明されました。3.11福島原発事故がもたしている惨状がそれであることはいうまでもありません。
 事故はいつでも想定外として起こります。それに人間の作ったものは壊れます。放射能を閉じ込める完全な技術などないのです。(略)原子力開発の当初からその研究が進められてきたはずですが、この技術開発は頓挫しています。であれば、全ての原発は今すぐ止めることを決めなければなりません。わけても地震列島に所在する日本の原発は、なお巨大地震の発生を予測されていることもあり、急がねばなりません。 志賀原発再稼動中止、廃炉の決定は喫緊の課題です。私たちの地に所在する東海第2原発も同様です。それぞれの地域で総力を結集しつつ、連帯を進めていきましょう。総会にお集まりの皆さんの、さらなるご奮闘を祈念します。 

▼北海道岩内町・佐藤英行(町議、岩内原発問題研究会)

 命のネット第13回総会が原発の非倫理性を糾弾し、未来に対する責任は私たちが果たすことを確認し、(略)再稼動阻止の炎を燃え上がらせることを期待します。7月に策定予定の「新安全基準」は、現在パブリックコメントを募集中ですが、その骨子案は再稼動を目論む奴らにとって、再稼動への道標でもあり、各電力会社はそれにそって着々と準備を進めています。
 新安全基準によってハードルをあげようとも、利益相反委員が参加している原子力規制委員会は再稼動への道をつけることが使命なのです。国会事故調査委員会は虚偽の理由でフクシマ事故の真相へのプロセスを断ち切られ、未だ真相を解明していないのです。断じて「藪の中」にしてしまってはいけません。昨年5月5日に泊原発3号機が停止し、全国の原発が止まりました(我が家から泊原発3基ともよく見えます)。あのときの開放感は忘れられません。命のネットワークの皆さん、全国の反原発・脱原発の仲間とつながり、フクシマを忘れない!大飯原発を止め、全国の原発の再稼動を阻止する!ため共に闘いましょう。未来は私たちの足元にある! 

 新安全基準へのパブコメ  豊橋市・田中 良明 <原発雑考№296より転載>

 原子力規制委員会が新しい原発安全基準の骨子案を公表し、それについての意見募集=パブコメがあった(2月末で終了)。私は以下の意見を送った。

 1.骨子案の8「包括的拡散抑制対策」では、苛酷事故が発生した場合には「敷地外への放射性物質拡散を抑制する手段を整備すること」とされているが、拡散の抑制ではなく、敷地外に放射性物質を拡散させないようにする手段を整備すべきだ。敷地外へ放射性物質が拡散すれば、住民避難が不可避となる。住民避難は福島が示しているように長期化せざるを得ず、収入の途絶、家族の離散、生活設計の破綻、地域の分断・破壊、故郷喪失などの深刻な事態を引き起こす。場合によっては数十万人、数百万人もの人びとの人生そのものを切断・破壊してしまうことになる。
 代替可能な位置電源に過ぎない原発のために、極めてまれであったにしても、このような事態が発生することは、とうてい容認できない。何事が起きようとも住民避難が必要になるような放射性物質の拡散は防止しうる対策を講じておくべきである。

 2.新安全基準に盛り込まれている対策は、すべて原発稼働前に実施されているべきである。事故は、対策が実施されるまで待ってくれるわけではないのだから、これは当然である。対策実施の猶予を認めることは、安全性よりも事業者の便宜を優先することであり、それでは何のための原子力規制か分からなくなる。(以上、提出意見文)

 1については、放射能汚染された地域の住民は避難を余儀なくされ、それは極めて広汎かつ深刻な被害をもたらす。緊急の避難は入院患者などの要援護者にとってとりわけ苛酷なものにならざるを得ない。福島原発事故では双葉病院の悲劇を含め、おそらく百人以上が避難によって命を縮めている。いかなる事故が起きても住民避難には至らないように対策を講じておくことは、原発の社会的安全性確保の基本である。2は、安全確保よりも事業者の全儀を優先してきた過去の原発規制政策を踏襲するのか決別するのかの、分かりやすい試金石である。

 脱原発先進国ドイツへのデマ宣伝   同 <原発雑考№294より転載>

 原発維持・推進派のデマ宣伝は相変わらず盛んだ。ここでは脱原発・再生可能エネルギー利用の先達であるドイツについてのデマを指摘しておく。①「ドイツはフランスの原発の電気を買っており、ドイツの脱原発はフランスの原発に依存している」というデマ。⇒ヨーロッパ諸国は電力市場が自由化され、送電網も繋がっているので、どの国も日常的に電力を売り買いしている。ドイツがフランスから電力を買っているのは事実だが、フランスもドイツから電力を買っている。脱原発宣言後の1年間のドイツの電力輸出量は輸入量よりも多かった。ドイツへの電力輸出が増えてフランスの原発の稼働率が上がったという事実もない。
 「ドイツは再生可能エネルギーにシフトして電気料金が上がり、工業品輸出が生命線のドイツ経済は打撃を受ける」というデマ。⇒ドイツの発電コストは日本より安い。それに環境税や固定価格買い取り制の賦課金が加わって、電気料金はドイツのほうが高いのは事実だが、それがドイツ経済に打撃を与えてはいない。ドイツはEU内でほとんど唯一、好況を維持している。これがその決定的な証拠である。電気料金は経済全体に殆ど影響を与えておらず、電気料金のウエイトが高い業種にたいしては賦課金減免などの措置によって悪影響が緩和されている。
 ③「再生可能エネルギー利用電力の買い取り価格が引き下げられた。これは固定価格買い取り制の破綻の証である」というデマ。⇒引き下げ幅が妥当かという問題はあるが、買い取り価格は基本的に発電コストに連動しており、買い取り価格引き下げは、発電コスト低下の反映である。従って買い取り価格引き下げは、固定価格買い取り制の破綻ではなく、逆にこの制度が狙い通りに機能している証である。ちなみにドイツは日照条件が日本よりはるかに悪いが、太陽光発電のコストは日本のほぼ半分にまで低下。固定価格買い取り制の成果である。

 <12年度統一測定データの報告>

   12年4月 7月  10月  13年1月 
 羽咋市駅東 3  3  3  3 
 中能登町金丸 2  4  4 
 中能登町良川 2  2    3 
 七尾市大津 2  1  2  2 
 七尾市中島町 2  3  2  3 

 ↑PDM(積算線量計)測定結果
 統一測定日の2日前にスイッチオン。48時間の積算放射線量を表示する。表示単位はマイクロシーベルト。


 羽咋市寺境◆  54.2  51.2  58.5  59.1
 羽咋市邑知  22.1  22.9  23.3  21.8
 羽咋市駅東  19.3  20.8  19.1  18.7
 羽咋市市街◆  36.3  23.9  18.9  29.3
 羽咋市柴垣  20.1  20.7  18.7  20.4
 志賀町高浜◆  52.8  40.4  46  44.5
 志賀町米浜◆  50.4  36.2  48.3  57.4
 志賀町赤住  18.3  21.2  16.5  19.5
 志賀町長田  17.9  17.7    16
 志賀町福浦  22.1    19.7  20.0
 志賀町高田◆  27  23.5  25.1  18.5
 志賀町風戸  17.1  17.4  18.2  14.8
 志賀町鵜野屋    19  18.3 X  16.2
 志賀町切留  18.7  故障  修理  
 七尾市大津  13.6  8.7  10.4  10.4

 ↑たんぽぽ、Rダン空間線量測定結果
 統一測定時の空間線量(ガンマー線)を測定する。◆印は「たんぽぽ」。表示単位はナノシーベルト(マイクロの1,000分の1)。無印はRダン。1分間に通過したガンマー線の本数を表示。たんぽぽ、Rダンとも10回計測した平均値。


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● 歌会始に思う~ 3.11フクシマから2度目の年明けを迎えた中、新春恒例の「歌会始の儀」が1月16日、皇居の「松の間」で行われました。今年の歌題は「立」。いつまでもフクシマに国民の目を向けさせておくわけには行かない、という狙いも「立」の歌題にはある、と見たのは私の僻目でしょうか。

 ♪ 安達太良山(あだたら)のほんとうの空うばいたる 都は立ちて歌会始


東京には空がない、ほんとの空が見たい、安達太良山の上の青い空がほんとうの空だ、と智恵子は言ったといいます(高村光太郎・智恵子抄『あどけない話』より)。東京は福島を電力植民地にしてきただけでなく、智恵子の言う「ほんとうの空」を奪い、福島も同じ空にしてしまったのです。福島県の人の入選歌「安達太良の馬の背に立ちはつ秋の空の青さをふかく吸い込む」を見ると、まるで事故など無かったかのようです。近くの郡山市や中通地帯の線量が極めて高いことは周知の通りなのに。「伏す」でもなく、「哭す」でもなく、見事に歌題に沿った作です。
 それでも、最年少の太田君の入選作は楽しいものでした。「実は僕 家でカエルを飼ってゐる 夕立来るも鳴かないカエル」。素敵な感性をもった「僕」たちに大人は何を残すと言えるでしょうか。つらくてもフクシマを見つづけることが私たちの務めだと思うのです。 
<追記>3月6日、北陸中日新聞4面全面を使い「飯舘 女たちの哀歌」番外編として俵万智さんの歌が特集されました。与謝野晶子を思い出します。ぜひご覧下さい。

♪ 子を連れて西へ西へと逃げてゆく 愚かな母と言うならば言え (俵 万智)

♪ まだ恋も知らぬ我が子と思うとき 「直ちには」とは意味なき言葉 (同


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 12年度命のネット会計決算報告

<収入の部>                                 2011年1月~12月

 内訳 予算額  決算額  摘要 
 1.繰越金  1,735,258  1,735,258 10年より 
 2.会 費  700,000  1,250,660  11年1~12月
 3.寄付金  10,000  138,560  高教組、テント村、講演料
 4.雑収入  71,742  68,259  利息259、参加協力券68,000他
  合 計  2,517,000  3,192,737  

<支出の部>

 1、事務局費  650,000 734,817   
   備消耗品費  80,000  47,222 封筒代・文具費 
   通信費  260,000  341,240  ハガキ・切手代
   事務所費  60,000  60,000  勤労協連合会へ
   印刷費  250,000  286,355  ニュース5回、コピー代
 2、会議費  80,000  62,620  
   総会費  20,000  26,600  会場費、浅田さん記念講演料
   諸会議費  60,000  36,020  役員会、会見監査会場費
 3、旅費  100,000  246,420  事務局交通費、集会旅費補助
 4、事業費    350,000  336,460  
   ヨウ素剤費  100,000  55,820  隔年更新
   測定機器費  50,000  0  線量計新規購入なし
   教育宣伝費  200,000  280,640  渡辺さん講演会・宣伝費用など
 5、予備費  1,377,000  53,000  
 合  計  1,846,000  1,433,317  
 繰越金 収入計3,192,737-支出計1,433,317=1,759,420  13年度へ繰越  


13年度会費納入のお願い

 第13回定期総会が開催され、12年度決算報告も承認されました。みなさまのご協力により、渡辺さん講演会、9.1~12羽咋市役所前テント村行動など多くの出費がありましたが、それに匹敵する会費納入やカンパがあって黒字で乗り切ることができました。心から感謝いたします。
 昨年の運動を引き継ぎ、命のネットワークの運動をさらに広げ、志賀原発の再稼働阻止・脱原発社会実現へ活動をすすめることが必要です。このためにも13年度会費の早期納入を新加入者の方をふくめ、ぜひともよろしくお願いいたします。      記

◆すでに納入頂いた方には、郵便振込用紙を入れておりません。
◆会費は原子力立地給付金の出ている地域を除き、年2,000円です。
◆労金の自動振り込み払いの方を除き、下記のいずれかへ振り込み下さい。
 ◎郵便振込口座  00790-6-19989  命のネットワーク
 ◎北陸労働金庫羽咋支店  普通預金口座 2917732  命のネットワーク


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