命のネット通信 NO25 2012.2.1発行


  県境を越え富山から、120名が新たに加入!
    30キロ圏の氷見40名、40キロ圏の高岡60名!


 昨年末、命のネットワークに志賀原発から30`圏内の富山県氷見市で40名、40`圏内の高岡市で60名の加入申込みがありました。実にうれしい知らせです。これまでの新加入者と併せ、富山県全体で120名になります。さらに、共同購入会でも呼びかけが行われています。
 従来の地元参加者(羽咋郡市、七尾鹿島)150名と、県内・全国の新加入者104名と合わせ参加者は374名に達します。国や県を頼っていたら生殺しにされる!自分の命は自分で守らなければ!という思いの高まりが強く感じられます。

 ●再稼動阻止へ命のネット総会に参加を!

 原発交付金中毒にドップリ漬かっている志賀町当局だけで原発の再稼動に対する是非を決められてはたまらない。石川、富山の全ての自治体に同意権=拒否権を持たせろ!という運動を大きく広げていきましょう。来る2月18日には第12回定期総会と福島から避難している浅田正文さんの講演会が開催されます。新加入の方を含め、こぞって出席いただきますようお願いします。

  命のネットワーク代12回定期総会の案内
   ▲と き 2月18日(土)13:30〜15:30
   ▲ところ 羽咋労働会館・2階大ホール
   ▲総 会 11年度経過報告、会計報告、12年度方針・予算の審議
   ▲講 演 「福島からの訴え」―浅田 正文さん

 ◎講師紹介=浅田さんは福島第一原発から23キロの、緊急避難区域に指定されている田村市都路(みやこじ)から、友人が住む金沢へ避難してきた。17年前、福島の田舎暮らしを求めて移住し、薪ストーブに薪風呂という暮らしだった。合併前の都路村では産廃処分場建設計画の反対を訴え村議選に立候補し当選を果たす。「2年後にはぜひ自宅に戻り、ひまわりや菜種を植えて地域の放射能を少しでも除去することが、原発を許してきた自分たち世代のひとつの役割かな。それまでの間は原発をなくすために全力で活動する」と言う。



  <子どもたちを放射能汚染から守るために>

 昨年の師走10日午前10時より七尾市内のサンライフ中ホールで「さよなら志賀原発・七尾集会」が開催された。7.24「さよなら志賀原発・金沢集会」の第2弾ともいえるもので、石川県平和センターと市民グループが共に実行委員会を積み重ねて企画したものである。お隣の富山県からもバスを仕立てて100人余が駆けつけ、会場は約500人で埋まった。
 3・11後、いてもたってもいられないと、若いお母さんたちが立ち上がり始めたが、この七尾集会でも、市民グループや労組の人たちに混じって、わずかではあるが、チラシやネットを見て自分の意思表示で参加した、どこにも属さない個人参加者がいたことは、事態が事態だとはいえ、新しい現象だと思う。メイン講演は福島県から来ていただいた福島県平和フォーラム事務局次長の國分俊樹さんだ。
 いきなり寅さんの主題歌が流れたので、携帯を切らないのは誰だと思ったら、國分さんが「生まれも育ちも福島で、人呼んで福島の被曝親父と言います、、、、」と、あえて、シニカルに語り始めた。「放射能汚染の現状と今後の課題」という重い話を、平易にわかりやすい語り口で話す。福島県教職員組合が作った詳細な資料による汚染状況の報告と、知られざる福島の実態に改めて息を呑む。國分さんの話は貴重なので、以下、要点を紹介する。
  <国分さんの講演要旨>
 ◆ 事故が起きた翌日に放射能の権威だという長崎の学者が来て「これ位の放射能は大丈夫だから落ち着いて」とバカな宣伝をしたので、安心した市民がいる。
 ▲ 郡山での原発事故前の線量計の数値は0.04μ?/hだった。3/15は500倍の20μ?/h、4/1は50倍の2μ?/hを記録した。5/19から今日(12/10)まで積算線量計を身体に付けている。3/15からの分も通算すると今まで3,000〜4、000μ?/h被曝していることになる。すでに年間許容量の3〜4倍を超えている。(*年間の被曝許容量は1ミリ?・毎時に換算すると0.114μ?/h.1ミリ?は1,000μ?)
 ◆ 被曝したことで、子々孫々、将来にわたってガンや白血病などにかかるリスクが高まることにさいなまれる。
 ◆ 原発を抱えている町では、万が一曝発事故が起きた場合をリアルに想定して、防災対策を具体的に明文化しておくべき。何キロ圏内、何キロ〜何キロ圏内はどこへ逃げるのか、その受け入れ先は、保証金等々、福島では机上の話だけで明文化してなかったのが強い反省点だ。
 ▲ 沖縄へ移住しようとも考えたが、家のローンもあり、職も失う等、経済的に無理。既に避難、移住している人も経済的な問題を抱えている。
 ◆全国の方から何かお手伝いできることがあれば何でもしましすと言われるが、福島へ来ると貴方も被曝するから来なくていい、貴方は自分の居住近くの原発を止める運動に力を注いでほしい。それが結果的に福島への応援になる。
  <何年ぶりかの大規模な市内デモに感激>
 福島県郡山市で、9ヶ月、積算線量計を付けながら生活をしている方の話はリアルで説得力があり、胸に響いた。次に壇上に立ったのは、七尾市内・真宗大谷派僧侶の畠山浄さん、10月に福島県二本松市に「市民放射能測定室」が開設出来たが、その運動を中心になって取り組んで来られた畠山さんから、6月に「子ども食べ物基金」を立ち上げてからの経緯についてお話いただいた。全国に募金を呼びかけたところ、短期間に800万円以上の善意が寄せられたという。本会場でもカンパ袋を回させていただき、5万円を「子ども基金」に振り込んだ
 締めくくりは堂下健一志賀町議。現在の志賀町の様子と去る11月7日に全志賀町議で視察に行った南相馬市の現状と、女川原発について報告していただいた。「明治の足尾銅山、昭和の水俣、そして今回のフクシマと、この100年間お上が行ってきたことは何一つ変わっていないことに、私たちは鋭く目を向けていかねばならない」―堂下さんのマクロな指摘はいつも奥深く、私たちが為すべきことにサディスチョンを与えてくれる。
 集会後、500余名は「すべての原発を廃炉に!」と訴え、七尾市内を30分間デモ行進した。七尾での、こんなに大勢での脱原発デモは何年ぶりだろうか。(七尾市・笹川栄子)

   羽咋市のヨウ素剤分散配置にいま注目が!

 11.27北陸中日新聞は1面トップで「ヨウ素剤 子どもの近くに “羽咋式”備蓄に注目」と報じています。フクシマの現実を前に、国の防災対策は完全に破産しました。服用を指示せぬ国に富岡町、いわき市、三春町は独自の判断で15万人余にヨウ素剤を配布し、「国の一元的な判断・指示に基づく」という原子力防災新法の建て前も崩れてしまったのです。
 国は今になって『若年層ほど放射線の影響を受けやすく、被ばくする24時間前から被ばく直後までに服用するよう求め』(11.27北陸中日新聞1面)と言っています。その通りで、始めが決定的です。だからこそ各自治体が羽咋市の分散配置に注目し、北陸中日も大きく取り上げたのでしょう。羽咋市が92年にヨウ素剤を独自に購入し、97年から学校・保育所に分散配置をしたのは先見の明があったと言えます。

  <場当たりの対応つづける国。羽咋市は自前で見直しを>

 その後、セシウムやストロンチウムによる長期の放射能汚染が深刻の問題に。ここでも国は、「20ミリシーベルト」という被ばく線量評価を示し、母親たちの猛反発を受けて「極力、法律本来の1ミリシーベルト以下に抑えるよう努力する」ことになりました。食品汚染に対しても場当たりの対処が続いており、いま基準はないに等しい状態です。子どもの被曝の影響は成人の5〜10倍も高いことを考えれば、本当に悲しい話です。
 一方、羽咋市の防災対策やヨウ素剤の服用基準も国の意向に影響され、事実上「手遅れ」「服用させない」ことになる恐れがあるものでした。市の防災対策・マニュアルもすでに過去のものになっています。いつになるか分からない国や県の被ばく線量評価を待っているわけには行きません。市民の目線、感覚で市が自分の頭で防災対策を考えることが今最も求められます。

  <初動時の迅速な対応が決定的>

 ヨウ素剤服用については、「放射能の来ることが予想される場合には、服用した上でできるだけ遠くへ避難する。少なくとも30キロ圏外にとりあえずは避難する」とすべきです。初動時には、住民に最も近い自治体の判断が決定的であり、とくに放射性ヨウ素についてはそうです。

*注)ヨウ素剤とは? 事故発生時、最大の問題は放射性ヨウ素

 ヨウ素は海草に多く含まれ、子どもの成長を促す大切な元素。事故で放射性ヨウ素が放出され、呼吸・飲食で吸収すると、甲状腺に蓄積され甲状腺障害を起こす。ヨウ素剤は、正常なヨウ素を服用しておき、放射性ヨウ素が体内に入り込まないようにするもの。被ばく前か直後に服用するのが最も効果的。遅れるほど効果を失う。なお、劇薬というのは国のウソ宣伝。薬事規則にある「劇薬」とは1錠あたり「300mg以上ヨウ素を含有するもの」をさし、ヨウ素剤は該当しない。
 また、放射性ヨウ素による被ばくは甲状腺だけが問題なのではない。呼吸によって鼻孔の組織が被ばくし破壊される(その1例が原爆症の鼻血)。体内に入ると、鼻孔から鼻腔に移動する間、放射線が脳を直撃して、めまいや原爆ぶらぶら病(だるさ、無気力など)の原因となる。気管や気管支に移動すると隣の食道が被ばくして吐き気や食欲不振を起こす。その後、肺から血液に溶け込んで全身被ばくとなり、最終的に甲状腺にたまる。それだけにヨウ素剤は大切。

  <12.13市議会・産業建設委員会で要請>

 事務局では、この報道を12月議会にぜひ活用しようと思いましたが、すでに請願時期に間に合わず、12/10七尾集会直後の12月13日に開催された「産業建設常任委員会」で上記の内容を訴えることにしました。環境安全関連は「総務常任委員会」ですが、革新系議員がすべて産業建設に所属しているため、やむをえませんでした。
 傍聴して飛び入りの注文であり、委員会終了後、非公式の形で発言が許されました。9名の市議と副市長以下の執行部に要請できたことは良かったと思います。今後、十分準備の上、3月議会にとりくむ予定です。 (羽咋市・タナカ)

   絶望の中に希望を  震災と向き合い脱原発へ

 『はんげんぱつ新聞』1月号が届きました。その中で、標記の新春座談会−とりわけ福島県いわき市議・佐藤和良さん(下写真)の話は強く私たちに訴えるものがあります。以下、佐藤さんの発言に絞って編集部の独断で要約・転載。ぜひご一読下さい。     

 <犯罪的な野田政権の「収束宣言」>

◎「溶融した燃料がどこにあるかも分からないにもかかわらず、<冷温停止状態を達成>なんて言う。炉心が健全な場合の用語である<冷温停止>に<状態>をつけてごまかすこと自体、国民・県民を愚弄するものです」

●「東電でさえ、今も毎時6000万ベクレルの放射性物質を放出していると言い、溜まり続けている高レベルの汚染水を計画的に海に流したいと言っているので、依然として大気と海洋の汚染は続く。国民を欺き、世界の笑いものになっています」

◎「スピーディの第1報が出ていたにもかかわらず、福島県にも12日未明には届いていたのに、やはり公表しなかった。国が情報を隠し、県民を福島県にとどめ置いたことによって、すべての汚染と被ばくが始まっている。原子力災害特措法に違反する犯罪行為ではないか」
●「福島では事故の対応はまだまだ続く。30年とか50年で済む話じゃないんです。原発廃棄物産業で最低100年は仕事がありますよ」

 <即時停止が必要>

◎「福島原発事故の教訓は、この日本という地震国でこれ以上原発を稼働すべきではないということでしょう。即時停止が必要なんだと思います」
●「このままでは東海・東南海・南海地震となるわけで、そういう危機感を持つことが必要でしょう。もうひとつ起きたら、日本列島は本当に壊滅するのですから」

 <チェルノブイリ以下の対処―「避難なき除染」>

◎「県漁連はずっと出漁を停止して調査のみ行われている。`グラム当たり500ベクレルを超えるものも多く、底魚を中心に広がっていて、だんだん汚染濃度が高まってきています。それがさらに食物連鎖で大型魚にという可能性は、これから大きな問題です」

●「チェルノブイリでは手段は荒っぽいけど、2週間で40万人を避難させ、子どもたちをサナトリウムに送り、一方で2年間、汚染地域に非汚染食品を配給した。すべて日本ではやられていない。基本的なことをやらない国家だから、福島県民は棄民ですよ。
◎「そこから逃げ出そうとする者は白眼視される。住民の意識としては闘う方向とあきらめる方向とに分裂しています」

●「本気で復興を考えるなら、一定程度放射能が減るのを待たなきゃいけない。それまでは、次の未来を担う世代は避難させるべきです。いま言われている除染というのは、避難させないための<避難なき除染>であり、原子力関連機関や業者をそこで食わせるためです。汚染のひどい所で今やっているのは無駄です。少なくとも3年くらい経ってからすべきです」
 <風評被害ではなく実害!加害者責任を明確に!>

◎「いちばん腹が立つのは“風評被害”という言い方。現実に被害が出ている実害を風評被害と言ってごまかす。放射能公害なんです。公害企業の東電がきちんと賠償しなければならない」(これは京都・佐伯昌和さんの発言)

●「広瀬隆さんと明石昇二郎さんが東電の川俣会長らを東京地検特捜部に刑事告発しています。動かないようなら1万人くらいの刑事告発ができないでしょうか。東電役員や原子力村の人々の責任をはっきりさせる必要があると思います」


命のネットワーク11年度放射線測定データ
(基準日は第4日曜日午前)
PDM(積算線量計)による48時間積算測定結果
2011年1月 2011年4月 2011年7月 2011年10月 * 測定は統一測定日の2日前
羽咋市 駅東 3 4 4 3   にスイッチオン。48時間の
中能登町 金丸 4 4 4 4   積算された放射線量を記録
中能登町 良川 3 4 2
七尾市 大津 3 2 3 3 * 表示単位は
七尾市 中島 1 3 1   マイクロシーベルト
  たんぽぽ、Rダンによる環境放射線測定結果
2011年1月 2011年4月 2011年7月 2011年10月 * ◆印は「たんぽぽ」 単位は
羽咋市 寺境◆ 54.7 56,8 53,3 54,7   ナノシーベルト。県や役場の
羽咋市 邑知 19.2 23,7 24,3 23,0   測定器とほぼ同じ数値
羽咋市 駅東 20.2 21,7
羽咋市 市街◆ 38.2 28,8 24,2 29,7 * その他は、Rダン。1分間に
羽咋市 柴垣 22 21,9 20,1   キャッチしたガンマ線の本数
志賀町 高浜◆ 29.7 29,2 24,2 26,4   を表示
志賀町 米浜◆ 60.7 55,8 47,2 43,7
志賀町 赤住 16.6 21,9 20,2 16,6
志賀町 長田 19 19,7 16,9 19,4 * いずれも10回測定した
志賀町 福浦 22.3 21,0 19,6 21,3   平均値を記録したもの
志賀町 高田 25,7
志賀町 風戸 17.7 16,5 19,3 18,2
志賀町 鵜野屋 17.9 18,8
志賀町 切留◆ 37.8 33,7 35,5 29,2
七尾市 大津 14.6 19,7 17,3 11,1



●亡国への道をひた走る日本の国と社会 「国破れて山河あり。城春にして草木深し」〜たとえ国家が危機にあっても、母なる大地は春を迎え草木は豊かに芽吹く。それだからこそ、ひとはやはり生き続けることができる。よく引用される唐代の詩聖、杜甫の詩「春望」冒頭の一節だ。
 その山河・大地・海洋が汚染されてしまった。少なくとも私たちが生きている間、フクシマが収束しないことは間違いない。しかし、この未曾有の国難も知らぬかのように、霞が関と永田町、電力会社やメディアは何の責任もとらず反省もなく、従来の政策と利権を維持し続けようとしている。「亡国に至るを知らざれば、これ即ち亡国」〜田中正造の悲痛な叫びがよみがえる。

●オリンパスの愚を重ねる「避難なき除染」 5ページに佐藤和良さんの切実な声を掲載した。放射能は無くすことも減らすこともできない。移動させるか集めているだけだ。それをあたかも除染で除去しているかのように言う。膨大な損失をごまかし続けたオリンパスの過ちを国家的規模でやっているのである。発生者責任を明確にし、東電に引き取らせねばならない。 
収束作業の続く福島第一原発へは無理だから、まず第二原発の敷地だ。それにも限りがある。福島県民にはつらい話だが、第一原発周辺の住めなくなってしまった地域に廃棄物の処分場をつくるしかないではないか。もうきれいごとで済ませる事態ではないと思うのだ。

●原発稼働の結果に対する覚悟はあるのか これは福島だけの話ではない。たとえ運よく事故がなくても、廃炉処分が何十年も何百年もかかり、その廃棄物が膨大であることは今回の事態で明らかになってしまった。以後の監視に至っては気の遠くなる話だ。それが何と54基もある。六ヶ所村再処理工場に至っては、その毒性や廃棄物量はケタ違いである。むろん志賀原発も志賀町におくしかない。もう引き受け手はいないからだ。原発を立地し稼働させるには最低、それだけの覚悟が要る。その覚悟と見通しもなしに再稼働は論外だ。♪「三猿の群れに全てのツケは降る」(横浜の阿部浩さん)*注)三猿=見ざる、聞かざる、言わざる。


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